金正恩氏が「公開処刑を禁止する」と指示…その真意は!? (DailyNK Japan)

2016/12/21 木村 0

北朝鮮の金正恩党委員長が、全国の司法機関に対して「公開処刑を禁止する」との指示を下した可能性が浮上している。 平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、人民保安省(警察庁)など全国の司法機関に「公開処刑を禁止することについて」という金正恩氏の指示文が伝えられたという。これには「群衆を集めて死刑を行う『群衆審判』『公開銃殺』を禁じる」という内容が書かれていた。銃殺そのものを禁止せよというものではなく、非公開で処理せよという意味だ。 北朝鮮では、「見せしめ」の目的で公開処刑が頻繁に行われてきた。 (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」) 生々しい情報 とりわけ金正恩政権になってからはその傾向が強まり、高級幹部から韓流ドラマのソフトを売った一般庶民に至るまで、様々な罪状で公開処刑されている。 韓国の国家情報院によると、今年に入ってから9月までに公開処刑された人は64人に達する。 公開処刑禁止の理由について、情報筋は次のように説明した。 「当局は住民を無条件に屈従させるために公開処刑を続けてきたが、弊害も馬鹿にならないと考えているようだ。国際社会に生々しい状況が知られることを恐れて、禁止の指示を下したのではないか」 (参考記事:玄永哲氏の銃殺で使用の「高射銃」、人体が跡形もなく吹き飛び…) 国連や人権団体は、北朝鮮の人権侵害について批判を続けており、金正恩氏を国際刑事裁判所に提訴せよと主張している。これが北朝鮮に対し相当な圧力として働いている可能性が高い。 一方で今回の公開処刑禁止令は、国際社会の視線を気にしたための措置に過ぎず、人権状況の改善は期待できないとの見方もある。 北朝鮮における非公開での処刑は、管理所(収容所)や教化所(刑務所)内で密かに行われる。庶民の間で「絞刑吏」、つまり「縛り首役人」と呼ばれる戒護員(刑務官)は、角材、棍棒、ハンマーで急所を滅多打ちにして処刑する。また、電気ショックや薬物注射による処刑も行われているとの証言もある。 地域では既に「冷血な絞刑吏を集めて『殺人組』を作る」という噂が出回っている。 国連の統計によると、世界195の国や地域のうち、死刑を行っているのは56に過ぎず、死刑廃止は世界的な流れとなっている。死刑を頻繁に執行するだけでも「人権侵害国」との批判にさらされるが、公開処刑となればなおさらだ。世界で公開処刑を行っているのはイラン、サウジアラビア、ソマリア、シリア、アフガニスタン、イエメン、そして北朝鮮の7カ国に過ぎない。 ちなみに韓国には死刑制度は存置されているが、1997年12月以来、執行は停止されており、事実上の死刑廃止国となっている。凶悪事件が起きるたびに、国内では「死刑執行を再開せよ」との声が上がるが、国際的な圧力を恐れてか、死刑執行の停止は続いている。 (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認)

金正恩氏を「罵る動画」を北朝鮮メディアがうっかり宣伝 (DailyNK Japan)

2016/11/27 木村 0

北朝鮮の朝鮮中央通信は23日、「民心を代弁するメディアの力は大きい」と題する論評を配信した。朴槿恵大統領の知人女性による国政介入疑惑を追及する複数の韓国メディアの活動を、次のように評価する内容である。 「異常者でブタ」 「進歩と保守を超越して特大型不正スキャンダルの真相を究明しているメディア活動こそ、正義と真理の代弁者、時代の先覚者としての責任と役割を全うしようとする正当かつ義に徹する行動だ」 何とも立派な言説である。国民に、自由な発言がまったく許されていない国から出た主張とはまったく思えない。 北朝鮮には言論の自由が皆無に等しく、報道は国営・官営の御用メディアによる体制宣伝が大部分を占めている。しかし、国外に向かっては「完璧な民主主義国家」を自称しているから、時折こんな「上から目線」の論調が飛び出すのだ。 とくに金正恩党委員長が最高指導者となってからは、このように外国の報道に言及したり、インターネット上の世論をすくいとったりして体制宣伝を行うことが増えたようだ。 これが、正恩氏本人の「カラー」であることは間違いない。正恩氏は、こうしたメディア戦略を自ら指揮しているのだ。そうでなければ、公式メディアが正恩氏のヘンな写真をバンバン公開できるわけがない。 (参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか) しかし自由な言論と親しんだことのない北朝鮮のメディア担当者たちは、どうやら海外の報道から拾った情報を検証したり、裏を取ったりといった作業に不慣れなようだ。だから、時にはとんでもないミスが飛び出す。 朝鮮中央通信は前述した論評を出したのと同じ日に、「憤怒をかき立てる朴槿恵逆徒の7時間の行方の真相」と題した記事を配信した。 韓国の朴槿恵大統領は、大型客船・セウォル号の沈没事故が起きた当日、何をしていたか説明されていない「空白の7時間」がある。そして、「その時間、実は美容整形の施術を受けていたのではないか」との疑惑が持たれているのだが、最近、事故発生後と前日の朴氏の顔写真を比較して、「明らかに目の周りのしわが消えている」と指摘する動画がインターネット上にアップされた。 朝鮮中央通信の記事は、この動画が韓国のネットユーザーの間で話題になっていると紹介する内容だ。もっとも、大部分は韓国メディアの記事からの引用であり、同通信が掘り起こしたネタではない。 ここで、起きてはならないミスが起きた。 件の動画に付けられた字幕には、「(朴氏に)異常者でブタの金正恩が率いる北朝鮮軍と向き合うこの国の安保を、任せることができるのか?」などと、正恩氏を罵倒する内容が含まれているのだ。 北朝鮮で「最高尊厳」と崇められる正恩氏を「異常者でブタ」呼ばわりしている動画を宣伝するなど、かの国のメディアではあり得ないことだ。 朝鮮中央通信が動画を確認せず、韓国メディアの情報だけを頼りに記事を作成したからこそ起きた間違いだろう。北朝鮮では、当局者といえどもネットへの接続が厳しく制限されており、朝鮮中央通信に対しても、ネットの自由な閲覧は許可されていない模様だ。 では、このような間違いが起きないよう、正恩氏はネットのアクセスを拡大する「英断」を下すことができるのか。おそらく無理だろう。 北朝鮮当局は、海外の情報が国内で拡散するのを嫌っており、韓流映画を見ただけの女子大生に拷問を加えるような極端な取締りを行っている。ネットの自由化など、論外中の論外なのだ。 (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…) そもそも、正恩氏に対して批判的でないメディアなど、主要国にどれほどあるだろうか。しかし本来、国家の指導者にもなれば、ネットに流布する批判や噂、罵詈雑言の類を気にするものではない。 それにたとえ報道の自由がなくても、たとえネットに書き込むなどの手段が使えなくても、圧政に苦しむ北朝鮮国民は、心の中で正恩氏に対し辛辣な批判を向けている。むしろ、その方がよっぽど怖いものであることを、いずれ正恩氏も知る日が来るかもしれない。 (参考記事:金正恩氏の「ブタ工場視察」に北朝鮮庶民が浴びせる酷い悪口)

金正恩氏が「最愛の妹」を必死で隠そうとする理由 (DailyNK Japan)

2016/11/25 木村 0

韓国の情報機関・国家情報院(以下、国情院)は10月19日、国会情報委員会の国政監査において、金正恩党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)氏が体制内で権力をふるいながらも、その動静がしばらく途絶えていることから、病気治療中であったり妊娠したりした可能性がある、との分析を示した。 「大阪がルーツ」の兄妹 確かに、与正氏の動静を巡っては、労働新聞が6月29日付で最高人民会議13期4次会議に参加した際の写真を公開して以降、北朝鮮メディアで名前が言及されることもなくなっていた。それ以前には、正恩氏の現地指導に頻繁に同行している様子が報じられていたことを考えると、国情院が「異変」を感じたのも不思議ではなかった。 労働新聞の写真などを見ると、与正氏はいつも明るい笑顔を浮かべており、いかにも仲の良さそうな兄妹だ。また、その自然体の表情は、「話の通じる人物なのではないか」との期待を、一部の北朝鮮ウォッチャーに抱かせていたりもする。 とはいえ彼女が、北朝鮮において「普通の人」でないのは確かだ。昨年5月には、彼女の学生時代の友人らが、些細な言動のために「大量失踪」した事件もあった。 (参考記事:金正恩氏実妹・与正氏の同級生がナゾの集団失踪) 本人もそのことにショックを受けたとの情報もあるが、ともかく与正氏の周りで何らかの「異変」が起きるのは、「あり得ること」ではあるのだ。 だが、上述の国情院の分析は結果的に、間違いであった可能性が高い。 朝鮮中央テレビは今月14日、正恩氏の9月と10月の活動の様子を収めた記録映画を放映した。その中の、職業総同盟第7回大会の参加者と正恩氏が記念写真を撮る場面に、与正氏が登場しているのだ。 そこで与正氏は、参加者代表から花束を手渡された正恩氏に近づき、その花束を受け取っている。その様子を見る限りでは、病気だったり妊娠していたりといった印象は受けない。 不思議なのは、北朝鮮メディアがこの記念撮影の件を10月30日に報じた際、与正氏の名前がまったく言及されてないことだ。以前と比べれば異例である。 それにもしかすると、与正氏は6月末以降も正恩氏の現地指導などに同行していたのに、北朝鮮当局が敢えてその事実を隠していた可能性も浮上する。 気になるのは、その理由である。韓国の北朝鮮ウォッチャーの間には、兄妹の「若さ」を指摘する声がある。今、正恩氏は32歳、与正氏は29歳と言われる。正恩氏が自分だけでなく、側近として寄り添う妹の若さまでが目立つことで、国内外からどのような視線を向けられるかを気にしている、との指摘だ。 確かに、そうかもしれない。しかし筆者は、正恩氏は与正氏を「敵」から守ろうとしているのではないか、と考える。 韓国や米国では今、与正氏に北朝鮮国内での人権侵害の責任を問い、制裁指定すべきかどうかが論じられている。その理由は主に、与正氏の役職のためだ。北朝鮮の内部情報筋によれば、与正氏は朝鮮労働党中央委員会・宣伝扇動部の副部長の地位にある。副部長と言えば、日本の中央省庁の審議官から事務次官級に相当する高級官僚だ。 また、宣伝扇動部は、国民の思想や情報の統制を司る部署だ。北朝鮮で外部の情報に触れた人々が、拷問や銃殺を含む厳しい処罰を受けているのは、周知のとおりである。 (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…) 与正氏は、思想や情報統制ではなく行事の準備・進行を担当しているとも言われるが、正恩氏の妹で副部長ともなれば、「知らない」では通らない。 正恩氏はもしかしたら、与正氏の活動が外部に知られないようにすることで、制裁指定を難しくしようとしているのではないか。実際、米韓で与正氏に対する制裁指定の可能性が公に論じられ始めたのは、6月後半からのことなのだ。 いずれにしても、与正氏は正恩氏にとってかけがえのない存在であるはずだ。日本の大阪にルーツがある正恩氏に対しては、北朝鮮幹部らも陰で「ニセモノ説」を囁いていると言われる。 (参考記事:金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈(1)) 正恩氏が本当に分かり合えるのは、血を分け合った兄妹しかいない。それだけに、正恩氏は今後ますます、与正氏を巡る国際世論に神経を尖らせるのではないだろうか。

金正恩氏が韓国軍より「自国民」を恐れる理由 (DailyNK Japan)

2016/11/24 大久保 0

北朝鮮北東部が台風10号(ライオンロック)によって甚大な被害を受けてから2ヶ月半が過ぎた。現地では、金正恩党委員長の掛け声のもと、被災地では大々的に復旧作業が行われているが、相変わらず労災死亡事故が相次いでいる。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、会寧(フェリョン)市五鳳里(オボンリ)の住宅建設工事現場で、ショベルカーが大きな水たまりを埋める作業をしている最中、いきなりそばの壁が崩れた。兵士8人が下敷きになり、うち4人が死亡、4人が重傷を負った。 500人死亡の地獄絵図 極端な官僚主義が蔓延る北朝鮮では、目に見える成果ばかりを追求することから、これまでも数々の労災事故が起きた。過去には、橋梁の建設現場で500人が一度に死亡する地獄絵図のような大惨事が起きたことがあったが、当局は事故の存在を隠蔽し詳細は一切明らかにされていない。 (参考記事:北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図) こうしたなか、北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は21日、復旧住宅が完成し入舎式が行われたと報道。式典には朝鮮労働党中央のそうそうたる面々が参加した。以下がその顔ぶれだ。 崔竜海(チェ・リョンヘ)、金己南(キム・ギナム)、崔泰福(チェ・テボク)、リ・スヨン、金平海(キム・ピョンヘ)、李萬建(リ・マンゴン)、呉秀英(オ・スヨン)、郭範基(クァク・ポムギ)、金英哲(キム・ヨンチョル)(敬称略) 平壌で行われる労働党中央の会議以外で、これほどの面々が集まることは極めて珍しい。「建国以来の災害」とアナウンスしているだけあって、労働党中央も被害を深刻に捉えているともいえるが、それでも肝心の人物がいないことに気づくだろう。金正恩党委員長だ。 トイレにストレス この間、金正恩氏は一度も被災地を訪問していない。それどころか台風が襲った直後の9月9日に第5次核実験を強行した。甚大な被害を受けた被災地の状況を顧みない正恩氏の行動に対しては被災地からは不満の声が漏れ伝わってくる。また、平壌から北朝鮮北東部に移動するとなると長時間に及ぶ。厳しい警備態勢の移動となり、ただでさえトイレ事情などでストレスを抱える正恩氏の精神的負担は増すだろう。 それでも金正恩氏は、近場の工場などの現地指導は行っている。さらに、11月に入ってからは4度も軍部隊を視察した。南北軍事境界線に近接する北朝鮮軍の防御隊を視察した時は、意気揚々とゴムボートに乗りながら、アクティブな一面も見せた。 この動きは単に正恩氏が目立ちたがってわけではないだろう。正恩氏がゴムボートで渡った島は韓国軍の射程内だ。また、面積も小さく身を隠すの難しい。仮に韓国軍が正恩氏の行動を捕捉していれば格好のターゲットとなり、決して安全とはいえない。 あえて危険な行動を取った背景には、崔順実ゲートで朴槿恵(パク・クネ)大統領の求心力が弱まる中、韓国側の軍事行動は不可能だという判断に基づくものではないか。また、こうした行動によって、今後何年にもわたり「正恩は怖くて最前線に近づけない」と言われないようになる。 では、それなりに大胆な行動を取った金正恩氏が被災地に出向かない理由はなんだろうか。やはり被災民が自分と体制についてどう思っているか、不安だからだろう。また、こうした国民の不満に乗じ、韓国や米国がテロをしかけるかもしれないと疑心暗鬼に陥っているのではないか。 北朝鮮国営メディアは、住宅建設も含めて被災民に対して配慮を見せている。その一方で、今回大々的に入舎式が行われた復旧住宅は、いつもながらの「速度戦」という突貫工事で建てられたため、トイレなどで様々な問題が起こる事が予想されている。現地でも決して大歓迎というわけではないのだ。 金正恩氏は米韓の圧力よりも、国民の見えない反発を敏感に感じ取り、そして恐れているのかもしれない。

北朝鮮大惨事は金正恩氏の「思うつぼ」…脱北が困難に (DailyNK Japan)

2016/11/24 大久保 0

「もしかしたら、今後は北朝鮮国民の国外脱出がこれまでより格段に難しくなるかもしれない」 こんな懸念を示しているジャーナリストがいる。韓国の有力紙「東亜日報」で10余年にわたって北朝鮮関連の記事を書き続ける、脱北者出身のチュ・ソンハ記者だ。チュ記者は、「豆満江の変身と大量脱北時代の終末」と題した17日付の記事の中で、要旨として次のように説明している。 ダム放流で村落「消滅」 北朝鮮当局は、台風10号により発生した未曽有の水害の被災地に1万1900棟の住宅を完成させたと発表している。 これは金正恩氏にとって、禍を転じて福と為す結果になるかもしれない。北朝鮮当局はこれまで、豆満江の川辺にあった村落が脱北の温床になっていると見て移転を試みていたが、うまく行かなかった。しかし、今回の洪水でその村々は消え、当局は遠く離れた山裾に新たな村を作った。また、新しい住宅には塀がなく、誰が出入りしているか丸見えだ。川に沿って幅広の警備道路が作られ、鉄条網が整備され、監視カメラまで設置された、アリの這い出る隙もなくなる――。 さすが、脱北のリスクを知る当事者だけに、懸念する内容も具体的だ。チュ記者はまた、村民の家に警備隊員が隠れて出入りすることができなくなったことで、彼らが脱北ブローカーや密輸業者と結託するのが難しくなる点も指摘している。 北朝鮮の庶民は、こうした人々によって持ち込まれる海外情報と接することで、「心の自由」を広げてきた。当局は韓流ドラマなどを見る人々に対し厳罰で臨んでいるが、それでも隠れて見る風潮は消えていない。 (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…) しかし、国内の取締りと並行して国境封鎖が強化されたら、多くの人が見るのは難しくなってしまう。 ちなみに、今回の水害の被害は、当局が通告なしにダムの放流を行ったために被害が拡大した。つまりは人災である。 (参考記事:北朝鮮、通告無しのダム放流で洪水被害拡大…国境警備隊数百人が死亡) そのような人災は北朝鮮では珍しくないが、まさか、村を押し流してしまうため、わざとそのような行動に出たわけではないと信じたい。 北朝鮮を脱出して韓国に入った脱北者は3万人を突破したところだが、金正恩時代に入り減少傾向が続いていた。今後、脱北者がさらに減るようなことになれば、ただでさえ分かりにくい北朝鮮国内の様子が、いっそう見えなくなってしまうかもしれない。 (参考記事:「自由」の夢やぶれ韓国でも性的搾取…脱北女性の厳しい現実)

金正恩氏、女性同盟第6回大会の参加者と記念写真 (DailyNK Japan)

2016/11/22 大久保 0

朝鮮民主女性同盟第6回大会の参加者と記念写真を撮った金正恩氏(2016年11月22日付労働新聞より) 北朝鮮の金正恩党委員長は朝鮮民主女性同盟(女盟)第6回大会の参加者と記念写真を撮った。日時は不明。朝鮮中央通信が22日、報じた 同通信によると、金正恩氏は大会の参加者に対して「全社会の金日成・金正日主義化の旗印を高く掲げて朝鮮女性運動の勝利的前進と社会主義強国建設のための誇らしいたたかいにおいて朝鮮労働党の紐帯、頼もしい援助者としての栄誉ある責任と本分を全うする」と期待したという。 記念撮影には、崔龍海(チェ・リョンヘ)、金己男(キム・ギナム)、李日煥(リ・イルファン)の各氏と、女盟中央委員会の金正順(キム・ジョンスン)氏参加した。 朝鮮民主女性同盟は今大会で「朝鮮社会主義女性同盟」に改称された。 朝鮮中央通信の報道全文は次のとおり。 金正恩元帥が朝鮮民主女性同盟第6回大会の参加者と記念写真を撮る 【平壌11月22日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党委員長、共和国国務委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官の金正恩元帥が、朝鮮民主女性同盟第6回大会の参加者と共に記念写真を撮った。 金正恩元帥は大会の参加者を熱烈に祝い、彼女らと共に記念写真を撮った。 元帥は、大会の参加者が金日成主席と金正日総書記の主体的な女性運動思想と指導業績を揺るぎなく擁護、固守してとわに輝かし、全社会の金日成・金正日主義化の旗印を高く掲げて朝鮮女性運動の勝利的前進と社会主義強国建設のための誇らしいたたかいにおいて朝鮮労働党の紐帯、頼もしい援助者としての栄誉ある責任と本分を全うするとの期待と確信を表明した。 朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会委員であり、共和国国務委員会副委員長である党中央委員会の崔龍海副委員長、朝鮮労働党中央委員会政治局委員であり、共和国国務委員会委員である党中央委員会の金己男副委員長、党中央委員会の李日煥部長、女盟(朝鮮社会主義女性同盟)中央委員会の金正順委員長がこれに参加した。    

金正恩氏の「ブタ工場視察」に北朝鮮庶民が浴びせる酷い悪口 (DailyNK Japan)

2016/11/21 木村 0

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮当局は最近、国内各地で「住民総会」なるものを開かせ、国民に対する思想的抑圧を強めている。 女子大生を拷問 住民総会というのは、簡単に言えば「吊し上げ」だ。役場の前や学校の運動場に舞台を設置。当局の意に沿わない言動を見せた人々をそこに上がらせ、他の住民たちに糾弾するよう強要。その後に保安署(警察)などに連行するのだ。 北朝鮮で最も恐れられている「公開処刑」ほどではないにしろ、見過ごすことができない人権侵害の一つだ。 (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」) 住民総会は、2013年6月に始まったものだが、社会の雰囲気があまりに殺伐としたため、翌年初めには中止になった。ところが、それを今年10月に再開し、毎週日曜日に実施させているというのだ。 この事実は何を物語っているか。北朝鮮当局は、海外ドラマを見ただけの女子大生にまで拷問を加え、さらには公開処刑のような極端な手段を動員して「思想的ゆるみ」を矯正しようとしているが、それがまったく上手く行っていないのだろう。 (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…) それどころか、北朝鮮の人々の心の自由は、確実に大きくなっている。 北朝鮮庶民のブラック・ユーモアにかかれば、金正恩党委員長の権威など紙のように薄いものでしかない。 しかも北朝鮮の特権階級が住む首都・平壌市民の間でも、金正恩氏を露骨にバカにする言葉が流行っているというのだ。 「友達に会えてうれしそうだ」 RFAの平壌在住の情報筋によると、これまで金正恩氏を批判的に呼ぶ場合、「世間知らず」という言葉が使われてきたが、最近はよりひどい悪口を言われているという。 今年8月、金正恩氏は「大同江(テドンガン)ブタ工場(養豚場)」を現地指導した。この様子がテレビで放映されるやいなや、正恩氏を「テジ」と呼ぶことが流行りだしたのだ。テジとは、朝鮮語でブタのことだ。庶民らは、放送を見ながら次のように悪口を浴びせかけるという。 「友達に会えて嬉しそうにしているな」 「ブタのなかでも人間の格好をしているやつが一番重そうに見えるな」 市内の市場では、まるまると肥えた家畜を「指導者級」と呼ぶ。もともと北朝鮮では、男性はふくよかな体型が好まれてきた。しかし、最近では韓流ドラマの影響で、スラッとした男性が好まれるようになったことも、正恩氏が悪口のネタになる理由の一つだ。 ただし、金正恩氏も最初から今ほどの肥満体だったわけではない。登場時は太り気味ではあったが、ある時期から急激に体重が増加した。気になるのは「血の粛清」が激しくなるのと体重の増加が軌を一にしていることだ。 (参考記事:【写真で振り返る】金正恩氏、年々高まる肥満度…髪型にも変化が) 庶民たちは、正恩氏の政治手法についても「エゴイズム政治」「疑い政治」などと言って非難する。「人民愛」や「親しみやすさ」を強調しながらも、実際には自分勝手で側近ですら信用していないことに対する批判だ。 こうした言葉は正恩氏だけでなく、「民族の太陽」と崇められる祖父・金日成氏も対象になっている。平壌市民の間では「太陽を信じて生きる」という言葉がよく使われている。しかし、ここでの「太陽」は金日成氏でなく、ソーラーパネルを意味するのだ。 金正恩体制を批判してきた筆者としても、もさすがに「ブタ」呼ばわりはどうかとも思う。しかし、北朝鮮の庶民たちは、公開処刑、拷問、政治犯収容所に象徴される恐怖政治の下で怯えながら生活し、一寸先は闇という人生を送っている。金正恩体制に怒りと不満を抱えた庶民たちからすれば、ブタ呼ばわりするぐらいでは飽き足らないだろう。

金正恩氏が「報復テロ」を恐れているのかもしれない (DailyNK Japan)

2016/11/19 木村 0

北朝鮮で行政や司法機関の幹部、そして治安機関員を狙った襲撃、殺人などの凶悪事件が後を絶たない。事件の背景には、北朝鮮当局の強権的なやり方に対する庶民の反発がある。 妻子まで惨殺 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は次のように語った。 「最近の保安員(警察)たちは前面に出ず、労働者糾察隊に住民の取り締まりをさせている。一歩間違えれば、いつ誰に殺されるのかもわからないので、幹部でさえも一人では歩けないぐらいだ」 実は、治安機関や当局の幹部らは庶民からの「報復テロ」に怯えているのだ。こうした報復テロは、金正恩時代になって特に増加している。金正恩党委員長が、庶民への統制と取り締まりを強めているからだ。同時に、以前は権力に対して従順だった庶民たちも、今では公然と反発するようになった。残忍な方法による報復殺人事件も起きている。それだけ庶民の治安機関に対する恨みは大きいと言えるだろう。 (参考記事:妻子まで惨殺の悲劇も…北朝鮮で警察官への「報復」相次ぐ) 女子大生まで拷問 同じくRFAの慈江道(チャガンド)の情報筋も「中央の指示を建前に、人民を厳しく収奪してきた幹部に対する殺人事件が、今年になって目に見えて増えている。慈江道だけではなく全国で相次いでいる」と語った。 咸鏡北道の清津(チョンジン)市では、今年9月初めから10月末までの2ヶ月の間に、19件の殺人事件が発生。そのうち幹部に対する報復殺人が3件、殺人未遂事件が2件だった。 9月末、清津市水南(スナム)地区保安署捜査課の保安員が退勤中に暴漢に襲われ殺害された。実は、この保安員は捜査の過程で住民を厳しく拷問する悪名高い人物だったという。秘密警察である国家安全保衛部(保衛部)も女子大生を拷問するほどの残虐さで庶民たちから恐れられているが、地方警察においても拷問が横行しているようだ。 (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…) 「拷問収容所」の管理者も 10月18日には、取り締まりの名目で旅行者の荷物を奪った清津駅保安署の保安員が駅構内でレンガで撲殺された。また、学生にガソリンと賄賂を強要していた清津師範大学の革命歴史学部講座長が夜中に棒で殴り殺された。 さらに9月16日には、清津市水南地区の女性の党書記が暴漢に襲われて意識不明の状態となった。10月8日には、羅南(ラナム)区域の人民委員会労働課長が刃物で刺されたが、なんとか一命を取りとめた。そして、これらの事件の犯人は一人も捕まっていない。 10月19日には、慈江道の教化局から満浦(マンポ)市の保安署に新しく赴任してきた保安員が旅館で、刃物で刺され死亡する事件が発生した。教化局とは、拘禁施設である教化所を管理する部署だ。強制労働、拷問、そして女性虐待が常態化している教化所の管理者だっただけに、住民から恨みを買って殺害された可能性が高いと情報筋は見ている。 (参考記事:北朝鮮、拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も) このような凶悪事件が相次いでいるにもかかわらず、さらなる報復テロを恐れてか司法機関の捜査自体も進んでいない。 さらに「こうした報復殺人事件をいちいち摘発していたらきりがないほど事件が多発している」と咸鏡北道の情報筋は語った。 北朝鮮で多発する当局者に対する凶悪殺人事件。こうした事件を擁護するつもりはまったくないが、庶民たちは当局者に対して積もり積もった憤怒を爆発させているのかもしれない。 今のところ、北朝鮮当局の頂点に君臨する金正恩氏に、庶民らの怒りが直接届く様子は見られない。しかし、気になる動向もある。ここ最近目立ちたがり屋の金正恩氏の地方への現地指導の回数が減っているのだ。当局者に対する報復テロは、正恩氏にも報告されているはずだ。現地指導が激減している裏には、金正恩氏が庶民らの反発に恐れていることがあるのかもしれない。

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